オンディーヌ 海辺の恋人
アイルランドの素敵な映画をご紹介。
※ネタバレあり
Y!評価:3.0
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「クライング・ゲーム」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のニール・ジョーダンが製作・脚本・監督を務めたファンタジックなラブロマンス。撮影はクリストファー・ドイルが担当している。主演はコリン・ファレルのアリシア・バックレーダ。アイルランドの田舎で漁師をしているシラキュースは、ある日、網に美しく若い女性がかかっているのを発見する。彼女は意識を失っていたが目を覚まし、名前がオンディーヌであると告げた後、自分の存在を誰にも知らせないでほしいと頼んできた。シラキュースは彼女を家に連れ帰り、娘アニーとともに三人で暮らし始めることに。アニーはオンディーヌが海の精か人魚だと信じており、確かに彼女の周りでは不思議なことが起きていた。シラキュースとオンディーヌは恋に落ちるが、彼女には人には言えない秘密が…。<
爽やかなタイトルに反する、暗い映像たち。
タイトルからもあらすじからも、きっと海の風景が綺麗な作品なんだろうと多くの人は思うはず。
良い意味で期待を裏切られます。
まず、自然の映像が総じて暗い。エメラルドの海を想像してはいけません。
オンディーヌの過去を表現しているような、やや暗い映像は見る側を不安にさせます。
また、水中から空を見上げるシーンが何度かあるのですが、光がぼんやりとしていて、怖い。
シラキュースが幸運を苦手としているのとリンクしているように感じられます。
設計図として、作り込まれているなと、関心。
メルヘンと現実が交差するストーリー作りは圧巻。
ここに関して、賛否両論あるようですが私は肯定派です。
そもそも何の映画か分からないからこそ、見る側としてもオンディーヌの正体がなんなのか分からなくて困惑します。
セルキー伝説に則ったアザラシの毛皮の使い方はよく考えているなと。
いろんな要素が散りばめられている中で拾いきれていない、現実的ではないやや強引な印象もありますが(次で語らせて頂きます)、
メインのところはきちんと完結していて、すっきりと見終われる印象です。
シラキュースは一貫として穏やかなのですが、久しぶりに酩酊した時にやっと弱みを見せるシーンがあって。
なんてひどい男だと思う反面、冷静になってから自分の行為を悔いるなど、人間らしい描写はリアルで共感せざる得ません。
急に始まる、裏社会事情。
※ ここからは完全なネタバレなので、見たいなと思った方々は見ないでください。
前述の通り、おとぎ話と並行して進んでいっていて、ストーリー作りとしては上手いという一言に尽きます。
個人的には、オンディーヌに非があったかどうか含めて、リアルな部分の深掘りは欲しかったなとは思います。そこが、エンディングにも繋がると思うので。
見ている側としてはシラキュースに幸せになってほしくて。
時代背景について曖昧なので、ここに関しては個人的解釈に依存している、ある意味うまく逃げている部分なのかなと。
評価的には中の上と中途半端ではありますが、私としては良作だなと思ってます。
アイルランドの神話に基づく、アイルランドのリアルな話。
なかなかないストーリー構成だと思うので、興味本位で良いので是非鑑賞頂ければと。