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Southerly

20代OLの試行錯誤ブログのはずが映画紹介ブログになりつつあるなう

リトル・フォレスト

働くって、何だろうと疲れていた時に見た作品。あぁ、そういうことだったんだと気付かされる作品です。


リトル・フォレスト(夏・秋) Y!評価:4.0

リトル・フォレスト(冬・春) Y!評価:4.1

都会で生活してみたもののなじめなかったいち子(橋本愛)は、故郷である東北の小さな集落・小森に戻ってくる。近所にはスーパーもコンビニもないため、自ら作物を育て、野山で採ってきた季節の食材で日々の食事を作り、自給自足の生活を送っていた。不便ではあるが季節の移ろいを感じ、自然の恵みを食べながら、いち子は生きる活力を蓄えていく。

「告白」や「あまちゃん」でヒットし、一時期グレたと話題になった橋本愛ちゃんの作品です。
この子のイメージ、きつめの美人さんという方がたくさんいるんじゃないかと思います。
ただ、この作品を見て、この子のみずみずしさ・良い意味での平凡さに気付くのではないかと。

物語、ドキュメンタリー、料理番組…どう表現すればいいのか。
ただ、言えるのは飾らない映像の美しさ
空想の舞台である小森の風景は、目新しさはないのですが、なぜだかほっとする風景になってます。都会で疲弊している方なら癒されること間違いなし。
車窓から見えても誰も関心ないような素朴さだけど、それでいて昆虫や動物、植物といった映像は生命力を感じる。
よく見せようと加工されているのではなく、より実物に近い形なので現実感があります。

1レシピ1話のような形で物語は進んでいきます。野菜を切ったり、火を焚いたり、静かな空間の中で軽快な音色を奏でながら、生きるための食事が作られていきます。
その材料は自分で耕した畑の収穫物だったり、近所で取れる魚だったり、知り合いの家畜だったり。
働くって、こういうことか。
生きるために、食べるために、働いてるだなと、当たり前のことに気付かされます。
自給自足の生活なので、畑の手入れや保存を怠れば食を繋ぐことはできない。
当たり前に食べて、寝て、暮らしているけど、それってすごいことで。
大半の人は目に見える形で、働く=生きるって繋げるのは難しいとは思うけど、デスクワーク等であっても、働くというのは生きるということに繋がってるんですよね。

なんといっても数々の料理の魅力といったら。
手数をかけた料理たちはすぐに食べられるコンビニの惣菜とは違い、愛おしく見えます。
淡々と語られるレシピは事細かに分量が決まってるわけではないので、なんだか家庭で親の料理を教わっているようで、リラックスした気持ちで見られます。
前述した通り、料理中の音がダイレクトに聞こえてくるので、想像力を掻き立てられ、なんだか良い匂いが香ってくる気がします

そして、少しずつ進んでいく物語にもご注目。普通の映画だったらBGMやなんかで盛り上がりそうなシーンも、静かに進んでいきます。
それが、逆に感情移入するというか、そばで見ているような感覚になるんですよね。
見終わった後は登場人物が、小森がすごく身近に感じられて、終わるのが寂しくなるくらい。



是非、ご鑑賞あれ。