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Southerly

20代OLの試行錯誤ブログのはずが映画紹介ブログになりつつあるなう

男と女

クロード・ルルーシュ監督作品が早稲田松竹にて、今週上映されています。
素敵だなぁと思ったので、取り急ぎ感想をと。

『男と女』Y!評価:4.0

※ ネタバレあり

『愛と哀しみのボレロ』などのクロード・ルルーシュ出世作で、第19回カンヌ国際映画祭パルムドールなどを受賞したラブストーリー。共にパートナーを亡くした男と女が子供を通して出会い、過去にとらわれながらも互いに惹(ひ)かれ合う姿を描く。主演は『ローラ』などのアヌーク・エーメと、『愛、アムール』などのジャン=ルイ・トランティニャン。さまざまなシーンを映し取る巧みなカメラワークや印象的なテーマソング、切ない大人の恋など、色あせない魅力を堪能できる。

フランスのドービルにある学校の寄宿舎に娘を預けて、パリで一人暮らしをしているアンヌ(アヌーク・エーメ)。一方、カーレーサーのジャン(ジャン=ルイ・トランティニャン)もまた同じ寄宿舎に息子を預けていた。子供を通して知り合った二人には、それぞれ夫と妻を亡くしたという共通の過去があった。やがて二人は、互いへの思いと辛い過去の間で揺れ動き……。

フランシス・レイが手がけた主題歌はおそらく誰もが聞いたことのあるものかと。
前編に渡り、流れていくこのメロディは美しく、映像・ストーリーと見事にマッチしてます。

率直な感想を言うと、独特な表現の仕方だなぁと。この時期のフランス映画をあまり見たことがないから、この感想に至るのかもしれませんが。
ヌーヴェルヴァーグが一段落を迎えた1966年の作品です。

物語自体はありがちで単純なのですが、展開・表現がなんと言えばいいか…素敵なんです、芸術作品なんです。

まず、景色が綺麗です。今ほどの画質の高さはないけど、何気ない景色が美しい。水面に映る空や周りの建物。
そして、要所ででてくる男性と犬。このモチーフはこの映画で音楽のような役割を兼ねています。はじめは並んで歩いて、最後は犬が弾みながら走っていく。これって、二人が過去を引きずりながら歩いていたけど、最後は解き放たれて自由になったことと重なります。

そして、物語の方ですが、本作は女性の方が共感が得られるんじゃないかなと思います。
最後の二人がゴールインするまでの流れが、女心よくわかってるなぁと感心しました。
ジャンのカーレースが終わって、アンヌは感激して愛していると電報を打ちます。ジャンはその想いに早く応えたくて車を爆走、アンヌに会いに行きます。
そこで、ベッドインしてハッピーエンドかと思いきや、アンヌが昔の夫を思い出し、結局果てることは出来ませんでした。これがすごく印象的で。
女って、セックスする時に色々考えちゃうんですよね。男の人は快楽への衝動から突き動かされているのかもしれませんが。
久しぶりに体を合わせる相手が、かつて愛した人ではない。だから、集中することは出来なくて、心を開いたはずなのに、芯のところはまだ準備は出来ていなくて。
それで、二人は別々に帰るのですが、帰路でお互い相手へ思いを巡らせるのです。
そこで、アンヌは夫の呪縛から解放される。純粋に、ジャンのことが好きなんだと、本当の意味で腹に落ちる。
女性は突っ走る分、どこかで冷静に考える時間が必要なんです。
で、ジャンが駅で待ってるんですね。ここが多分フランス人と日本人の違いな気がします。
きっと日本人だったら、二度と会わずに諦めてしまうんではないでしょうか。
この数十分の葛藤が素晴らしくて、まさにエンディングで抱き合う場面は名シーンだなと。



ある程度、恋愛経験のある女性におすすめしたい作品です。ぜひ、早稲田松竹まで足を運んで見てください。
同監督の作品、他も見てみようかと思います。